小学生の英語多読📖紙の絵本から始めよう!vol.5

【連載⑤】Oxford Reading Tree 徹底解説
ORTとはどんなシリーズ?

ORT(Oxford Reading Tree)は、1986年にオックスフォード大学出版局(OUP※)が英国の初等教育向けに開発した英語多読シリーズです。英国の80%以上の小学校で実際に使われてきた実績があり、現在では世界130か国以上で採用されています。アカデミック・ロードのKidsクラスでも、多くの生徒が一定期間ORTで多読に取り組んでいます。
ORTの最大の特徴は、シリーズ全体が体系的に構成されている点です。「800冊以上ある」とも言われるORTですが、家庭での多読においてまず知っておきたい構造が、「トランク(幹)」と「ブランチ(枝)」という考え方です。
※ Oxford University Press(OUP/オックスフォード大学出版局)は、1478年に英国オックスフォード大学が設立した世界最古の大学出版局のひとつです。現在は世界50か国以上に拠点を持ち、学術書・語学教材・辞書など年間6,000点以上を出版しています。
【ORTの体系:トランク(幹)とブランチ(枝)】
トランク(幹)とは、主人公のBiff(ビフ)・Chip(チップ)・Kipper(キッパー)とその家族、愛犬Floppy(フロッピー)が繰り広げる中心的な物語です。正式名称は「Main Stories」で、Stage 1〜9を通じてストーリーが連続して展開します。日本で「ORT」と言えばこれを指すことがほとんどです。
ブランチ(枝)は、トランクの各Stageに対応した追加ストーリー(「More Stories A」「More Stories B」など)です。本筋の物語には影響しない独立したお話ですが、同じキャラクターが登場するため、多読の量を増やしたいときや復習に最適です。
| 区分 | 内容 | 規模の目安 |
|---|---|---|
| トランク(幹) | メインキャラクターが登場する中心的な物語。Stage 1〜9を通じてストーリーが連続して展開する | Stage 1+〜9 / 約54冊(各Stage数冊) |
| ブランチ(枝) | トランクの各Stageに対応した追加ストーリー(More Stories A・B など)。本筋には影響しない独立したお話 | 各StageにA・B・Cなど複数セット/合計100冊以上 |
【多読でのおすすめの進め方】
まずトランクをStageごとに順番に読み進め、「もっと同じStageを読みたい」と感じたときにブランチを追加する、というのがアカデミック・ロードがおすすめする使い方です。
ORTの関連シリーズと日本で購入できる主なパック

Biff, Chip and Kipper Storiesの「トランク・ブランチ」以外にも、ORTには目的別のシリーズがあります。
| シリーズ名 | 特徴 |
|---|---|
| Floppy’s Phonics | 同じキャラクターでフォニックスに特化。文字と音の対応ルールをStageごとに体系的に学ぶ |
| Songbirds Phonics | 「ハリー・ポッター」シリーズの挿絵画家Nick Sharrattとの共作も。フォニックス入門に最適 |
| Oxford Reading Tree inFact | 科学・自然・社会など幅広いテーマのノンフィクション。知的好奇心旺盛な子に |
| Treetops | Stage 10以上の上級者向け。章立て・長編ストーリーで本格的な読書体験へ |
| Read with Oxford | 家庭学習向けの再編集版。トランク・フォニックス等から厳選収録した入門セット |
なお、今回は最も定番の「トランク(Main Stories)」から1冊を取り上げてご紹介します。
【日本で購入できる主なパック】
OUPジャパン(オックスフォード大学出版局日本支社) から、家庭学習向けのスペシャルパックが販売されています。まとめて購入したい場合の参考にしてください。
| パック名 | 収録Stage・冊数 | こんな方に |
|---|---|---|
| トランクパックA | Stage 1+〜5 / 約30冊 | ORT多読の入門〜中級。日常ストーリーからマジックキー冒険まで |
| トランクパックB | Stage 6〜9 / 約21冊 | マジックキー本格冒険編。まとまった英語量の読書体験へ |
各パックの詳細・購入については、オックスフォード大学出版局のORT特設ページ(oupjapan.co.jp)で確認できます。まずアプリ(ORC)で試してから、気に入った本だけ紙で購入するのもお勧めです。
Stageの選び方

はじめてORTを手にとるとき、どのStageから始めればよいか迷う方が多いと思います。以下を目安にしてください。
| Stage | 語数の目安 | 英検レベル目安 | こんなお子さんに |
|---|---|---|---|
| Stage 1/1+ | 10〜30語 | 入門 | 文字と絵を一緒に楽しみたい子 |
| Stage 2 | 30〜50語 | 英検5級 | 簡単な文章を読み始めた子 |
| Stage 3 | 50〜100語 | 英検5級〜4級 | 短い物語が読める子 |
| Stage 4〜5 | 100〜200語 | 英検4級 | マジックキーの冒険が楽しみな子 |
| Stage 6〜9 | 200語以上 | 英検3級〜準2級 | 本格的な読書を楽しめる子 |
【おすすめスタート地点】
英語の絵本にはじめて触れるお子さんには「Stage 1+〜2」から始めることをおすすめしています。語数が少なく、文のリズムがシンプルなので、「英語が読めた!」という成功体験が積みやすいStageです。
【今回の1冊】The Water Fight(トランク:Stage 2 )

今回ご紹介するのは、ORTトランク(Main Stories)の代表的な1冊「The Water Fight」(Stage 2)です。ARのKidsクラスでも多くの生徒が手にしている、多読スタートとして特におすすめしやすい1冊です。
| シリーズ | Oxford Reading Tree(Biff, Chip and Kipper Stories) |
| 区分 | トランク(Main Stories) |
| Stage | 2 |
| 語数の目安 | 約40語 |
| 著者 | Roderick Hunt |
| イラスト | Alex Brychta |
| YL(読みやすさレベル) | 0.1〜0.2 |
| 対象年齢目安 | 4〜7歳(英語多読入門) |
【登場人物】
- Biff(ビフ) お姉ちゃん。しっかり者でリーダー的存在。
- Chip(チップ) お兄ちゃん。好奇心旺盛。
- Kipper(キッパー) 末っ子の弟。天真爛漫でいつも元気いっぱい。
- Floppy(フロッピー) 家族の愛犬。絵の中でコミカルな行動をしているので要注目。
- Mum(ママ)・Dad(パパ) 子どもたちを見守る2人。
【ストーリー構造】
夏の暑い日、子どもたちが水鉄砲で水かけ遊びを始めます。BiffがChipにかけ、ChipがKipperにかけ——と次々に連鎖し、最後にFloppy(愛犬)も巻き込んで予想外の落ちへ。
Stage 2のORTトランクは「ひとつの出来事が起きて、ちょっとした落ちがある」というパターンが多く、The Water Fightもこの典型です。絵を追うだけでストーリーの流れが分かるので、英語が読めなくても最初は「絵本として」楽しむことができます。
【繰り返し表現】
Stage 2トランクの大きな特徴のひとつが「繰り返し」です。The Water Fightでは以下のような表現がページをまたいで繰り返し登場します。
「Biff got Chip.」「Chip got Kipper.」「Kipper got Mum.」……
→ 同じ文の型(主語+got+目的語)で人物だけ変わっていく構造です。繰り返しを聴くうちに、音と意味が自然につながります。
多読の3原則「辞書は引かない」「わからなければ飛ばす」「楽しく読める本を選ぶ」のうち、The Water Fightは特に「楽しく読める」を実現しやすい1冊です。知らない単語があっても、繰り返しの文型と絵のおかげで内容が推測できます。
【この1冊が多読のスタートに向いている理由 】
- 語数が約40語と短く、1回の読み聞かせで完結する
- 難しい単語がほとんど登場しない
- 水かけ遊びというシーンが視覚的にわかりやすく、絵だけでストーリーを追える
- ユーモアのある落ちがあり、「もう1回読んで」につながりやすい
- Floppyのコミカルな行動が子どもの笑いを誘い、英語への親しみを育てる
※なお、読み聞かせに不安がある保護者の方は、ORTアプリの併用をおすすめします!
【購入ガイド 】

購入や詳細の確認には、以下のショップが便利です。
| 購入先 | 特長 |
|---|---|
| オックスフォード大学出版局(公式)oupjapan.co.jp | ORT公式の特設ページあり。トランクパックA・Bなど日本向けセットを正規価格で購入できる。書誌情報・Stage構成の確認にも最適 |
| eltbooks.com(英語教材専門) | YL・書誌情報が充実。日本語ガイド付きセットの取り扱いあり |
| Kids Mart(キッズマート) | 輸入英語教材専門。年4回20%割引セールあり。セット販売が豊富 |
| 紀伊國屋ウェブストア / 丸善 | 大型書店系列のオンラインショップ。正規品を安心して購入できる |
| Amazon.co.jp(洋書カテゴリ) | 品揃え・価格ともに優秀。必ず「販売:Amazon.co.jp」の正規品を選ぶこと |
| メルカリ・ヤフオク | 定価以下で見つかることも。状態・正規品かどうかを必ず確認 |
【ポイント】
最初はStage 2の数冊入りパックから試してみることをおすすめします。いきなり全StageやパックAをまとめて購入するより、お子さんの反応を確認してから揃えるのがいいでしょう。
まとめ
ORT(Oxford Reading Tree)は、英国生まれで世界130か国以上に広がる英語多読の王道シリーズです。「トランク(Main Stories)」と「ブランチ(More Stories)」という体系的な構成が特徴で、Stage 1〜9まで無理なくステップアップできます。
・ORTはトランク(幹)とブランチ(枝)の2層構造。まずトランクを読み進め、量を増やしたいときにブランチを追加するのが基本の使い方
・Stageの選び方は「やや簡単め」から。英語入門なら Stage 1+〜2 がスタートの目安
・今回の1冊「The Water Fight」(Stage 2 トランク)は、約40語・繰り返し表現・コミカルな落ちが揃った入門に最適の1冊
・発音に不安があっても大丈夫。ORCアプリのネイティブ音声を活用すればすぐに始められる
・まずアプリで試して、気に入ったら紙で購入するのが、コストを抑えながら最初の1冊を選ぶ賢いやり方

次回予告
第6回「LadybirdのRead it Yourselfを深掘りします」
次回は、イギリスの老舗出版社Ladybirdが手がける「Read it Yourself」シリーズを徹底解説します。Level 1〜4の選び方と、ORTとの違い・使い分けをわかりやすくご紹介します。お楽しみに!
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