★連載★ゆりさんの上智大学日記 ⑪(クラシック名所編)
みなさん、Привет!
こんにちは、ゆりです。
今回はモスクワ観光編第3弾!観光編の最終回!
ということで、残りのクラシックの名所を一気にご紹介します。
前回のチャイコフスキー編で尺をとりすぎまして、今回は複数の名所を一気にまとめました。
一つ一つの紹介は短くなりますが、前回の反省を生かし地図をつけましたので、気になった方は是非調べてみて下さい!
今日紹介するのは、
①プロコフィエフ博物館
②モスクワ音楽院
③ラフマニノフ像
④音楽の歴史博物館
⑤ノヴォデヴィチ墓地
の5つのスポットです。
まずは、①プロコフィエフ博物館。地下鉄のオホトニ・リャト駅から徒歩で5分ほどの距離。
プロコフィエフはロシアの作曲家で、「ロミオとジュリエット」の音楽や「ピーターと狼」といった作品が有名です。
モスクワの中心地にある博物館です。1947年から1953年まで、実際にプロコフィエフ本人が住んでいた家を改装して作られました。カフェやレストランに囲まれており、商店街になじんでしまっているので見つけにくいかもしれません。しかし、博物館の前の道のど真ん中に(この通りは歩行者天国なので問題ないのですが)颯爽と歩くプロコフィエフを模した銅像が建っていますので、それを目印にしてください。ただし、例のコスプレや着ぐるみを着た人がいる通りですので、みなさんぼったくりには注意してください。
↓入り口はこんな感じ。両隣と向かい側はレストランです。前回紹介したチャイコフスキー博物館と同様に、私が行ったときには他のお客さんはおらず。道行く人も、この博物館には誰も見向きもしていませんでした…。観光地には地元の人は案外行かないものなのかも。
↓こちらは展示品の一部。プロコフィエフの愛読書だそう。他にも愛用していたトランプや、時計や、バイオリンまで、多様なものが展示されていました。
↓これはプロコフィエフの部屋を再現したブースです。写っているのは実際に彼が弾いていたピアノと、実際に着ていたカーディガン。
↓夜になると、博物館の前の通りはこんな風にライトアップされます。その道の真ん中を、右手をポケットにつっこみ、左手には大量の楽譜を携えて颯爽と歩くプロコフィエフ。生前の彼はきっとこんな風だったのでしょう。なんだかプロコフィエフがぐっと身近になりました。
続いては、②モスクワ音楽院。下の地図の右端にあるオホトニ・リャト駅から西に徒歩で10分くらいでしょうか。ちなみにこの地図の真ん中あたりに①のプロコフィエフ博物館があります。(①の地図には地下鉄が載っていません。すみません。)
サンフランシスコのジュリアード音楽院、パリのコンセルヴァトワールと共に、世界三大音楽学校の一つとして数えられるモスクワ音楽院(ロシア語ではコンセルヴァトーリヤと言います)。世界に羽ばたく超一流音楽家の卵が集う、最強の音楽学校です。校舎からは絶え間なく学生達の奏でる楽器の音色が響きます。
↓そんなモスクワ音楽院の校舎の中心が、この大ホール。学生はもちろん、世界で活躍するプロの音楽家にとっても憧れの、歴史あるコンサートホールです。
↓大ホールの中はこんな感じ。ロシア人の作曲家はもちろん、バッハやモーツァルトなどクラシック界の偉人達の肖像画が壁にずらっと並んでいます。ロビーにも、ハイドンやメンデルスゾーンといった巨匠たちの肖像画や、昔の演奏会のポスターが展示されていました。日本でここまで美しく装飾されたコンサートホールはないでしょう。やはりクラシック音楽の本場はヨーロッパだなあと実感します。
↓この日は実際にモスクワ交響楽団のコンサートがありました。この日が今シーズンの開始だったようです。プロ野球でいうところの開幕戦ですね。日本でクラシックのコンサートに行ってシーズンを意識することがなかったので驚きました。それよりもっと驚いたことは、テレビ中継があるわけでもないのに司会者がいることです。演奏する曲目や指揮者の名前、ソリストの名前を紹介すること以外に、演奏が始まる前に軽いトークでお客を和ませるのもこの方の役割。この日は司会者のトーク中に、お客さんの携帯がなってしまいました。しかも、その着信音がこの日の後半に演奏する予定の曲だったのです。日本では隣の人ににらまれてしまうに違いない状況ですが、司会の方は「一足先に聴けましたね」といって笑いをとっていました。
ちなみに演奏した曲はプロコフィエフの交響曲第1番全楽章、ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番全楽章、チャイコフスキーのくるみ割り人形全曲という、ロシア人の作曲家縛り。曲目だけでもお腹いっぱいになりそうな盛りだくさんな内容でした。というか、あまりにも盛りだくさんだったので、演奏が始まるまでプログラムを疑っていました。これだけの演奏をこんなに素晴らしいホールで聴けて3000円(1500ルーブル)とは、バルコニー席がいくらお得とはいえ安すぎないか?
↓モスクワ音楽院の入り口には、大きなチャイコフスキーの像が。モスクワ音楽院の正式名称は「チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院」ですし、実際にチャイコフスキーが教鞭をとっていた学校です。この像は彼が学生を指導しているときの姿を模したのでしょう。まるで今にも腕が動き出しそうです。
続いて紹介するのは、③ラフマニノフ像。↓地下鉄のプーシキンスカヤ駅・トゥベルスカヤ駅・チェーホフスカヤ駅から徒歩北東に徒歩10分くらいの距離にあります。ちょっと広めの公園のようなところに建っていて、モスクワ市民が周りを散歩していました。ロシア人は散歩好きで、こういった公園が至る所にあり、人々は散歩を楽しみます。ベビーカーをおす若いお母さんや、老夫婦や、ベンチに座ってビートルズを熱唱する少年なんかに出会えます。公園によっては真ん中に古本の本棚があり、自分が読み終わった本を一冊寄付する代わりに一冊持って行って良いですよ、というステキなシステムがあったりします(これはモスクワではなくサハリンの公園でしたが)。
←こちらがピアニストであり作曲家のセルゲイ・ラフマニノフ。フィギアスケートの浅田真央さんがフリーの曲でラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を使い、大変話題になりました。それ以前にも、「のだめカンタービレ」というドラマでクライマックスの場面に同じ曲が演奏されていたので、聴けば「ああ~、聴いたことある!」となると思います。ラフマニノフはとにかく手が大きいことで有名です。彼の作曲したピアノ曲には、普通の人の手では絶対に届かない和音が沢山はいるので、演奏がとても難しいのです。暗い曲調なのにドラマチックで迫力のある曲が多く、ファンの多い作曲家です。
↓続いては、④グリンカ中央博物館。地下鉄のマヤコフスカヤ駅から徒歩で10分ほど。ちなみに、この地図で左下のほうにいくと、チャイコフスキーホールがあります。
↓外観はこんな感じ。わかりにくくてすみません。中に入るとクロークがあって、コートはそこに預けます。
↓中に入るとこのように、世界中の古楽器が展示されていて、見たことのないものが沢山。今使われている楽器がどういう進化・改良を重ねてきたのかを知ることが出来ます。
↓そんな中でも、私が最も興奮したのはこちらの部屋。ここに並ぶ弦楽器のほとんどが、ストラディヴァリウス。こんなに並べるなんて、なんて贅沢なんでしょうか。語ると長くなりますので、ストラディヴァリウスの説明は割愛します。ぜひ調べて見て下さい。
続いては、⑤ノヴォデヴィチ墓地。↓こちらには、ロシアの著名人のお墓が集まっています。今日のお目当ては、作曲家・ショスタコーヴィチのお墓です。場所は、地下鉄・フポルチヴナヤ駅から徒歩で15分ほどです。となりの寺院とあわせて敷地があまりにも広大だったので、どこから入れば良いのか分からず、ちょっと迷いました。全く関係ないのですが、ノヴォデヴィチ墓地の目の前のバス停のポスターがTSUBAKIシャンプーの広告で、武井咲さんの美貌がモスクワ市民にさらされていたのには大変驚きました。
↓こちらの建物は、ノヴォデヴィチ女子修道院です。建物の中はとても厳かで、私語もためらうほど。ロシア人の女性達は髪を布で覆ってお祈りを捧げていました。自分で布を持ってきていない人のために修道院の入り口にスカーフが用意されていたので、急にきても安心(外国人観光客でそのスカーフを手に取る人はほとんどいませんでしたが)。男性の観光客もいましたが、なんだか居心地が悪そうでした。
↓そしてこの修道院の隣の敷地に、墓地があります。こちらが、お目当てのショスタコーヴィチのお墓です。お花を買っていけば良かったのですが、そこまで気が回らず‥‥。私はショスタコーヴィチの「革命」という交響曲が大好きなのです。すごくかっこいいのです。この交響曲は遠回しにスターリン体制を批判している曲だと言われています(諸説あり)。ロシアはそうした負の時代が長く続いた国ですから(今もほぼ独裁ですね笑)、演劇や音楽といったエンターテイメントの中で、巧妙に・ばれないように政治批判をいかに盛り込めるかということも重要なポイントでした。とはいえ、政治批判をしていると見なされたら処刑ですが。ロシア人は音楽や演劇に対して理解が深いと言われますが、観客はレベルが高くないと、込められた本当のメッセージを読み取れないのです。こういったことを頭の片隅においてロシアの演劇や音楽に触れると新たな発見があるかもしれません。
↓えー、ちなみにこの墓地で一番大きかったお墓は…
ロシア連邦の初代大統領、ボリス・エリツィンのお墓でした。周りのお墓が一緒に写っていないので、大きさのイメージがつかないかもしれませんが…そうですね、ショスタコーヴィチのお墓の10倍以上ありました。ロシアの国旗をお墓にして良いのは、大統領の特権かもしれません。エリツィンのイメージは日本では最悪ですが、ロシアではそれほど悪くないと思います。日本で人気があるゴルバチョフは、ロシアではあまり評判がよくありません。そういうものなのでしょう。
いかがでしたか?今回はモスクワの音楽家に関する名所を5つ紹介しました。次回は連載最終回となります!是非お付き合いください!
ゆりさんの過去の記事
★連載★ゆりさんの上智大学日記 ⑩(チャイコフスキーとモスクワ博物館編)
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