TOEIC満点への道 Vol.4
ニュージーランド留学6ヶ月で人生が変わった話 – 初日の衝撃からTOEIC満点への道
はじめに
2012年5月12日、私は11時間のフライトを終え、ニュージーランドのオークランド空港に降り立ちました。28歳にして初めての海外、初めての飛行機。これから始まる語学学校生活への期待と不安で胸がいっぱいでした。
語学学校初日:プレースメントテストの「意外」な結果
オークランド中心部にある、日本人にも人気の中規模校(授業料は3ヶ月で約30万円)に翌日から通い始めました。初日のプレースメントテストの結果を聞いて、私は自分の耳を疑いました。
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午前クラス(文法・読解):レベル3
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午後クラス(会話):レベル4
6段階評価の真ん中より少し上。正直、もっと低いレベルを覚悟していたので、独学で半年間続けた「アニメ学習」が意外と効果があったことに驚きました。
しかし、その喜びは一瞬で消え去ります。
「1年いてもレベル2」— 衝撃的な出会い
学校の施設案内中に、すでに1年以上通っているという日本人男性と出会いました。彼は明るく親切で、「俺はレベル2のクラスにいるから、もし一緒になったらよろしくね」と言ってくれました。
1年いて、レベル2…?
私の頭の中で警報が鳴り響きました。その後、カフェテリアで他の日本人学生たちと話す機会がありましたが、驚くべきことに、半年以上滞在している日本人の多くが、レベル2〜3で停滞していたのです。
「海外にいれば、英語は自然と話せるようになる」—この幻想が、目の前で粉々に砕け散りました。
なぜ彼らは英語が上達しなかったのか?
彼らを観察していて、いくつかの共通したパターンに気づきました。
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日本人同士で固まって生活する(シェアハウスも日本人と)
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授業以外は日本語で過ごす(休み時間も日本人グループ)
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宿題以外の自主学習をしない(「海外にいるだけで十分」という考え)
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英語を使う必要がない環境を自ら作り出す(日本食レストランでアルバイトをするなど)
彼らは「留学」はしていましたが、「英語学習」はしていなかったのです。この現実を目の当たりにし、私は心の中で誓いました。
「できる限り日本人グループには入らず、英語環境に身を置こう」
運命の出会い – 英語観を変えたスコットランド人教師
2週間後、レベルが一つ上がってレベル4のクラスに移動しました。そこで出会ったのが、私の人生を変えることになるスコットランド出身の女性教師でした。
30代後半、いつも笑顔で、驚くほど幅広い知識を持つ彼女。何より印象的だったのは、その教え方でした。
「ユウキ、あなたの英語は面白いわ。言いたいことは伝わるけど、文法がめちゃくちゃ。でも大丈夫、それは直せるから」
初めての個人面談で、彼女は優しくも率直に私の問題点を指摘しました。そして、一冊の青い表紙の分厚い本を取り出しました。
「これ、使ってみない?」
それは『English Grammar in Use』という本でした。
「でも先生、これ全部英語じゃないですか…」
「そこがポイントなのよ」
彼女のこの一言が、私の英語学習を根本から変えることになります。
パブナイトが教えてくれた「恥を捨てる」こと
語学学校には、毎週水曜日の夕方に「パブナイト」という公認イベントがありました。最初は全く気乗りしませんでしたが、強引に誘われ、渋々参加することに。
そこで、私に奇跡が起きました。
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間違いを恐れなくなった
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聞き返されても平気になった
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とにかく伝えることに集中できた
毎週欠かさず参加するようになり、私のスピーキング力は飛躍的に向上しました。
留学3ヶ月目:人生の分岐点
語学学校に通い始めて3ヶ月。当初の予定では、ここで学校を卒業してワーキングホリデーに切り替えるつもりでした。
しかし、ようやく英語学習のコツを掴み始めた私は、大きな決断をしました。
「学校をさらに3ヶ月延長する」
追加費用は約30万円。帰国時にはほぼ無一文になる計算でした。でも、「1年いてレベル2」の彼の姿が頭から離れませんでした。中途半端な英語力で帰国したら、28歳無職の自分に何が残るのか。
この決断こそが、後の英検1級、TOEIC990点満点への道を開くことになったのです。
6ヶ月で学んだ、人生で最も大切な教訓
パスポートを盗まれるというトラブルもありましたが、あの6ヶ月は私の人生で最も充実した時間でした。
朝5時起床、深夜まで勉強。オークランド図書館が第二の家になり、週末も机に向かい続けました。帰国前の模擬TOEICは約650点。まだまだでしたが、確実に成長を感じていました。
「海外にいるだけでは英語は身につかない。でも、海外で本気で学べば、人生が変わる」
これが、私が6ヶ月で学んだ最も大切な教訓です。
次回の記事では、「English Grammar in Useとの出会い – 文法理解のブレイクスルー」をお届けします。なぜ28歳まで三人称単数現在すら理解できなかった私が、この一冊で文法を克服できたのか、その秘密を余すところなくお伝えします。