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TOEIC満点への道 Vol.20

 

TOEIC 990点達成(2017年9月)- 満点の意味

2017年9月10日、日曜日。

宇都宮大学峰キャンパス。いつもの会場、いつもの机、いつもの緊張感。しかし、この日の私の心境は、これまでとは少し違っていました。

7月の955点という悪夢から2ヶ月。普段は申し込まない9月の試験に、私は「もう一度だけ」と挑んでいました。「今回ダメなら、来年の3月まで待つしかない」。そんな覚悟で臨んだこの日が、結果として私のTOEIC人生における最後の戦いとなりました。

試験中の不思議な静けさ

リスニングが始まった瞬間から、不思議な感覚がありました。焦りがないのです。

7月の試験では、「絶対に満点を取る」という気負いが空回りしていました。1問のミスが気になり、次の問題に集中できず、悪循環に陥りました。しかし今回は、まるで練習問題を解いているかのような静けさが心の中にありました。

前回お話しした「1200点を目指す」という意識が、ようやく体に染み込んでいたのかもしれません。

Part 3、Part 4と進んでも、その静けさは続きました。もちろん、「あれ?」と思う問題はありました。でも、「まあいいや、次で挽回すればいい」と瞬時に切り替えられる。これが、955点の時との決定的な違いでした。

リーディング:2問だけ「分からない」

リスニングを終え、リーディングへ。

Part 5の文法問題は、『出る1000問』で鍛えた「瞬間判断力」が機能していました。1問あたり20秒程度のペースで、淡々と解き進めます。Part 6、Part 7も順調。一万問を解いてきた経験が、「このパターンは見たことがある」という安心感を与えてくれました。

そして、最後の問題を解き終えた時。時計を見ると、残り6分。

「よし、見直しの時間がある」

全問を見直す中で、私は冷静に自己分析をしていました。

「確信が持てなかった問題は…2問だな」

1問はPart 5の語彙問題。見たことのない単語の用法を問われ、消去法で選んだもの。もう1問はPart 7の詳細情報問題。本文のどこに根拠があるのか、最後まで確信が持てなかったもの。

「2問ミスなら…満点の可能性がある」

TOEICは素点ではなく統計処理されたスコアで評価されます。問題の難易度によっては、1〜2問のミスでも満点が出ることがある。

試験終了のアナウンスが流れた時、私は不思議な達成感に包まれていました。「やれることは全部やった」という、清々しい気持ち。結果がどうであれ、悔いはない。そう思えたのは、この3年間で初めてのことでした。

スコアシートが届いた日:ゲーマーの記憶

約3週間後。仕事から帰宅すると、ポストにETSからの封筒が届いていました。

「来たか…」

封を開ける手が震えます。980点の時も、955点の時も、この瞬間だけは慣れることがありませんでした。スコアシートを取り出し、目を落とします。

Total: 990点(L: 495 / R: 495)

「……え?」

一瞬、数字が信じられませんでした。何度も見直します。990。リスニング495。リーディング495。

その瞬間、私の脳裏に浮かんだのは、意外にも大学時代の記憶でした。

『FINAL FANTASY XI』で、何百時間もかけて狙っていたレアアイテムがドロップした時の、あの感覚。「本当に出た」という驚きと、「やっと終わった」という安堵が入り混じった、なんとも言えない感情。

ゲームに12000時間を費やした廃人が、今度は英語学習に3000時間を費やして、ついに「レアアイテム」を手に入れた。人生というのは、本当に分からないものです。

3年間の学習総時間:3000時間の内訳

ここで、TOEIC対策に費やした時間を振り返ってみます。

2014年に本格的な対策を始めてから、2017年9月の満点達成まで約3年半。記録を見返すと、累計学習時間は約3000時間に達していました。

  • リスニング対策:約1000時間

    • 公式問題集の音声を繰り返し聴く

    • 通勤時間(往復90分×週5日)の活用

    • Part 3・4の先読み練習

  • リーディング対策:約1200時間

    • 公式問題集(日本版・韓国版)の演習

    • 『出る1000問』などの文法問題集

    • 990点超え向けの高難度問題集

  • 単語学習:約500時間

    • 『金のフレーズ』の周回

    • 文脈での語彙習得

  • 模試・本番:約300時間

    • 2時間×100回以上の模試演習

    • 本番試験(年3回×4年)

1日平均にすると約2.3時間。仕事をしながらの学習としては、かなりの量だったと思います。

満点でも知らない単語はある

「990点を取ったんだから、TOEICに出る単語は全部知っているんでしょう?」

時々、こんな質問を受けます。答えは、明確に「ノー」です。満点を取った今でも、TOEICの問題を解いていると「この単語、初めて見た」ということがあります。

特に厄介なのが、「品詞によって意味が変わる単語」でした。

例えば「permit」。動詞で「許可する」という意味は誰でも知っています。しかし、名詞になると「許可証」という意味になります。

A parking permit is required. (駐車許可証が必要です)

この文を見た時、「permitって動詞じゃないの?」と混乱した受験生は少なくないはずです。

他にも、こんな例があります。

  • produce:動詞「生産する」→ 名詞「農産物」

  • contract:名詞「契約」→ 動詞「契約する」「収縮する」

  • subject:名詞「主題」→ 形容詞「〜を条件として」(subject to)

TOEICは、こうした「品詞の罠」を巧みに仕掛けてきます。満点を取っても、まだまだ学ぶべきことがある。それがTOEICという試験の奥深さであり、面白さでもあります。

「990」という数字の意味:英語資格三冠

満点を取って、何が変わったか。

正直に言うと、英語力そのものは、980点の時とほとんど変わっていません。たった10点の差で、急に英語が上手くなるわけがありません。

しかし、「990」という数字には、それ以上の意味がありました。それは、「やり切った」という証明です。

28歳で英語学習を始め、29歳でニュージーランドへ。帰国後、英検準1級、1級、通訳案内士と資格を取得し、最後に残ったのがTOEIC満点でした。

TOEIC 990点、英検1級、通訳案内士。

「英語資格三冠」と呼ばれるこの3つが揃った瞬間、私は初めて「自分は英語ができる人間だ」と胸を張って言えるようになりました。

かつてオンラインゲームに12000時間を費やした廃人が、英語学習に3000時間を費やして、ここまで来た。遠回りだらけの人生でしたが、無駄なことは一つもなかったのかもしれません。

【次回予告】

次回は、「満点取得後の変化 – 生徒からの信頼と責任」をお届けします。

990点を取ったことで、企業研修での反応はどう変わったのか。生徒たちの目つきが変わった瞬間。そして、「満点講師」として感じるようになったプレッシャーと、新たな目標の必要性についてお話しします。

【今回のポイント】

  • 試験中の「静けさ」は、1200点を目指す意識が体に染み込んだ証拠

  • 確信が持てなかった問題が2問だけ → 満点の可能性を感じた

  • 3年間の累計学習時間は約3000時間(1日平均2.3時間)

  • 満点でも知らない単語はある(品詞で意味が変わる単語が特に厄介)

  • 990点は「英語力の証明」というより「やり切った証明」

  • TOEIC 990、英検1級、通訳案内士の「英語資格三冠」達成

【プロフィール】

  • 亀井勇樹(42歳)

  • 栃木県宇都宮市「アカデミック・ロード」英語講師

  • 保有資格:TOEIC L&R 990点、英検1級、通訳案内士(英語)