TOEIC満点への道 Vol.13
リスニング満点への道 – 495点を安定させる方法
2014年5月25日、私のTOEICスコアシートには「L: 495」の文字が記されました。
880点から925点へのジャンプ。そして何より、リスニングで満点という快挙でした。この満点スコアを見た同僚に「これ、South Parkのおかげだよ」と答えた時、彼は首をかしげていました。
今回は、私がどのようにリスニング満点を達成し、その後も安定して495点を取り続けられるようになったのか、その具体的な方法をお伝えします。
満点への道は、酔っ払いから始まった:パブナイトの意外な効果
ニュージーランドでのパブナイト体験を覚えていますか?
大音量の音楽、酔っ払いの英語、聞き返しまくりの会話。あの「めちゃくちゃな環境」での英語体験が、実はTOEICリスニング満点の土台になっていました。
パブでの体験が効いた理由:
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騒音の中で聞く訓練:TOEICの会場では咳払い、紙をめくる音、エアコンの音など、様々な雑音があります。パブの大音量に比べれば、これらは全く気になりませんでした。
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推測力の向上:酔っ払いの不明瞭な発音を理解しようとすることで、「聞こえた部分から全体を推測する力」が自然と身につきました。
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恥を捨てる訓練:「Pardon?」を100回言っても平気な精神力。これがリスニング中の「聞き逃した!」という焦りを防いでくれました。
South Park効果の真価:アニメで培った「音の記憶力」
私のリスニング力の基礎は、間違いなくSouth ParkとFamily Guyでした。
では、なぜアニメが効果的だったのでしょうか。2014年になって、その理由が明確になりました。
アニメ学習の隠れたメリット:
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同じエピソードを50回見た効果
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最初:字幕なしで10%理解
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10回目:30%理解+英語字幕で確認
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30回目:70%理解、セリフが予測できる
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50回目:音だけで100%理解、場面が頭に浮かぶ
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「音の塊」として記憶する力
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「I’m gonna」→「アムガナ」
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「What are you」→「ワラユー」
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「Could have been」→「クダビン」
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これらの音の連結(リンキング)が、自然に身についていました。
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文脈から推測する習慣
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アニメは映像があるので、聞き取れなくても状況から意味が推測できます。
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この「推測しながら聞く」習慣が、TOEICでも活きました。
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先読みテクニックの真実:10秒で設問と選択肢を読み切る
2014年3月から5月の2ヶ月間、私が最も力を入れたのが「先読み」の練習でした。
先読みのタイムマネジメント(Part 3・4):
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Direction(約30秒)→ 最初の問題の設問+選択肢を3回読む
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本文再生中 → 聞きながら解答をマーク
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設問読み上げ後(8秒の空白)→ 次の問題の設問+選択肢を読む
10秒で読み切るための訓練法:
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キーワード読み
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設問の疑問詞(What, When, Where, Why, Who)だけ確認
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選択肢は名詞と動詞だけチェック
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形容詞や副詞は後回し
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パターン認識
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「What is the man’s problem?」系の定番設問は、見た瞬間に理解
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選択肢も「To + 動詞」のパターンなら目的を聞いているとすぐ分かる
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ストップウォッチ練習
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毎日、公式問題集の設問だけを10秒で読む練習
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最初は読めなくても、同じ問題を5回繰り返せば必ず10秒以内に
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毎日の練習メニュー:平日と休日で異なるアプローチ
平日の練習(朝30分+夜1時間):
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朝の練習(布団の中で)
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Part 1・2の音声を聞く(寝ぼけ頭でも聞き取れるか確認)
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間違えた問題だけ3回リピート
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夜の練習(夕食後)
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Part 3・4を1セット(約30分)
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間違えた問題のスクリプトを音読
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シャドーイング10分
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休日の練習(2時間集中):
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本番形式でリスニング100問通し(45分)
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間違えた問題の徹底分析(30分)
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なぜ間違えたかをノートに記録
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苦手な国のアクセント(オーストラリア英語)を集中練習(45分)
付箋だらけの公式問題集:間違いを可視化する
私の公式問題集は、まるでハリネズミのように付箋だらけでした。
付箋システムの詳細:
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赤い付箋:3回以上間違えた問題(最重要)
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黄色い付箋:2回間違えた問題(要注意)
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青い付箋:1回間違えたが理解した問題(確認用)
間違えなくなったら付箋を剥がす。また間違えたら貼り直す。この「付箋の森」が徐々に減っていくのを見るのが、密かな楽しみでした。
オーストラリア英語の罠:最大の敵は「慣れない発音」
2014年5月の試験で、実は2問ほど自信がない問題がありました。両方ともオーストラリア人ナレーターのパートでした。
オーストラリア英語の特徴と対策:
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「エイ」が「アイ」になる
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Today → トゥダイ
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Station → スタイション
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Take → タイク
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対策:オーストラリア英語だけ抽出練習
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公式問題集からオーストラリア人の音声だけを集めてプレイリスト作成
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通勤時間に集中的に聞く
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1週間で耳が慣れてきました。
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満点でも知らなかった真実:495点 = 100%正解ではない?
リスニング満点を取って初めて知った衝撃の事実。
実はTOEICは数問間違えても満点が出ます!
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リスニング:3〜4問ミスまでOK
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リーディング:1〜2問ミスまでOK
これを知った時、「じゃあ俺、本当は何問間違えたんだ?」と複雑な気持ちになりました。でも、これは逆に朗報でもありました。「完璧じゃなくても満点は取れる」。この事実が、その後の学習でプレッシャーを和らげてくれました。
495点を安定させる秘訣:満点を3回連続で取るために
2014年5月以降、私は3回連続でリスニング満点を達成しました(7月は体調不良で480点でしたが)。
安定して満点を取るための3つのルール:
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本番2週間前から「耳の調整」
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毎日必ず2時間は英語を聞く
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試験1週間前からは本番と同じ時間(13時)に模試
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体調管理の徹底
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前日は22時就寝
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当日の朝食は消化の良いものだけ
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カフェインは試験2時間前に摂取(眠気防止)
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「聞き逃してもOK」マインド
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1問聞き逃しても満点は取れる
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パニックにならず、次の問題に集中
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深呼吸して切り替える
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振り返って思うこと
リスニング満点への道は、決して平坦ではありませんでした。
でも、振り返ると全ての経験が繋がっていました。
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ニュージーランドのパブでの恥ずかしい体験
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South Parkを字幕なしで見続けた6ヶ月
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通勤電車での地味な練習
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付箋だらけの公式問題集
これら全てが、495点という数字に結実した瞬間の喜びは、今でも忘れられません。そして何より嬉しかったのは、企業研修の生徒たちに胸を張って言えるようになったことです。
「リスニング満点の講師が教えます」と。
【次回予告】
次回は、「リーディングの壁 – 400点台前半での停滞期」をお届けします。
リスニングで満点を取れても、リーディングは400点台前半で停滞。この「最後の壁」をどう乗り越えたのか、赤裸々にお話しします。
【今回のポイント】
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パブやアニメなど「遊び」の経験も立派な学習
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先読みは「10秒で読み切る」技術の習得が鍵
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付箋システムで間違いを可視化し、弱点を潰す
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オーストラリア英語など苦手な発音は集中練習
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満点でも数問ミスOK、完璧主義を捨てる
【プロフィール】
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亀井勇樹(42歳)
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栃木県宇都宮市「アカデミック・ロード」講師
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保有資格:TOEIC L&R 990点、英検1級、通訳案内士(英語)

