TOEIC満点への道 Vol.11
TOEIC 880点(2014年)- 働きながらの学習ルーティン構築
「亀井さん、来週から〇〇工場のTOEIC講座、お願いできるか」
2014年1月、上司からの突然の依頼。週3〜4回、企業の工場へ出張してTOEIC指導をすることになりました。
講師1年目の私にとって、これは大きなプレッシャーでした。なぜなら、当時の私のTOEICスコアは755点。決して高いとは言えない数字です。
「TOEIC 755点の講師が、900点を目指す人たちに指導する…」
この矛盾に、私は痛烈な危機感を覚えました。「自分のスコアを上げなければ、生徒に申し訳ない」。
こうして、働きながらの本格的なTOEIC学習が始まったのです。
【勤務形態と学習時間の現実】29歳正社員の1日
まず、当時の私の生活リズムをお見せします。
平日のスケジュール
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9:00〜10:30: 自宅学習 (1.5時間)
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10:45〜11:30: 通勤 (電車45分)
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12:00〜21:00: 英会話スクール勤務 (9時間)
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21:15〜22:00: 帰宅 (電車45分)
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23:00〜12:30: 夕食・入浴後、自宅学習 (1.5時間)
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1:00: 就寝
その他の学習時間
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土曜日: 10:00〜19:00 英会話スクール勤務。夜は疲労で学習は困難。
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日曜・月曜 (休日): 1日3〜4時間、まとまった学習時間。
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平日の自宅学習時間: 約3時間(内訳:朝1.5h + 夜1.5h)。
これに企業出張講座が週3〜4回入るため、実際はもっとハードでした。
【午前中の1.5時間】朝型学習のメリット
当初、私は典型的な「夜型人間」でした。映画館アルバイト時代は深夜2時就寝が当たり前。しかし、働き始めてから気づいたことがあります。
夜は疲れて集中できない。
21時に仕事が終わり、22時に帰宅。夕食を食べ、風呂に入ると23時。そこから勉強しようとしても、一日の疲労で頭が回りません。
そこで試したのが朝型学習でした。起床後すぐは頭がクリアです。この時間帯に、最も集中力を要する学習を行いました。午前中の1.5時間は、夜の3時間に匹敵する価値がありました。
朝の学習内容(1.5時間)
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Part 7(長文読解):時間を計測して30分で解き、その後精読。
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文法特急:30分で周回(1周目は全問、2周目以降は誤答のみ)。
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金のフレーズ:50〜100単語を30分で高速見直し。
【通勤時間90分を活かす】電車内リスニング特訓
片道45分の通勤時間。往復で90分。これを無為に過ごす手はありません。
私は毎朝、iPodに公式問題集のリスニング音源を入れて持ち歩いていました。電車内で本を広げにくい状況でも、イヤホンさえあればリスニング学習ができます。
電車内で実践したリスニング学習法
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Part 3・4の音声を聞く。
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設問と選択肢は見ない。
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内容を頭の中で理解し、保持する。
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駅に着いたら、問題冊子で答えを確認。
これを繰り返すことで、「音声だけで内容を完全に理解する力」が鍛えられました。この通勤時間学習で、リスニングスコアが大きく伸びました。
注意点
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音量は控えめに(音漏れ注意)。
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乗り過ごさないように(笑)。
【夜11:00〜12:30】疲労と戦う夜の学習
夜の学習は、正直きつかったです。
夜は頭が疲弊しているため、「読む・書く」より「聞く・見る」学習に重点を置きました。リスニングは、座ったまま目を閉じてもできます。文法問題のように論理的に考える必要がないため、疲れた夜でも継続できました。
夜の学習内容
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Part 3・4のリスニング練習:1時間(音声を聞く / 答え合わせ /スクリプト確認)。間違えた問題は音声を3回聞き直す。
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金のフレーズの見直し:30分。
【休日の3〜4時間】弱点克服の集中特訓
日曜・月曜の休日は、平日にできない集中的な学習の時間でした。休日は、本番と同じ時間配分で問題を解くことを重視しました。
休日の学習内容
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公式問題集を1回分通して解く:2時間。
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間違えた問題の徹底復習:1時間。
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リーディングの時間配分練習:1時間。
【使用教材】880点到達に必要だったもの
2014年、755点から880点に到達するまでに使用した教材は以下の通りです。
必須教材
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公式問題集 Vol.4〜6(各3回解き直し)
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金のフレーズ(毎日50〜100単語)
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文法特急シリーズ(通勤電車で周回)
補助教材
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読解特急5 ダブルパッセージ編(Part 7対策)
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Vocabulary in Use シリーズ(語彙力の底上げ)
【880点達成の瞬間】2014年3月
3ヶ月間、この学習ルーティンを続けた結果、2014年3月のTOEICで880点を達成しました。
スコア内訳
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リスニング: 445点 (755点時: 430点)
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リーディング: 435点 (755点時: 325点)
特にリーディングが100点以上アップしたことに驚きました。
【働きながら学習を継続するコツ】
3ヶ月間、働きながら1日3時間の学習を続けられた理由を振り返ります。
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時間帯ごとに学習内容を変える
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朝: 集中力が必要な読解・文法。
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通勤: リスニング。
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夜: 負担の少ないリスニング・単語。
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完璧を求めない
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疲れた日は30分だけでも良い。「やらないよりマシ」の精神。
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小さな成功体験を積む
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1日50単語覚えた → 「今日は成功」。
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間違えた問題が減った → 「進歩している」。
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【振り返って思うこと】
働きながらTOEIC学習を続けるのは、決して楽ではありません。
でも、「講師として生徒に教える」という責任感が、私を支えてくれました。
「自分のスコアが低いのに、人に教えるなんて」
そんな後ろめたさが、毎日の学習を続ける原動力になったのです。
【次回予告】
次回は、継続できる人は必ず伸びる – 企業研修で見た成功パターン をお届けします!
【今回のポイント】
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「働きながらの学習は、時間帯で内容を変える。」
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「朝型学習で集中力の高い時間を活用。」
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「通勤時間90分はリスニングの宝庫。」
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「完璧を求めず、継続を優先。」
【プロフィール】
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亀井勇樹 (42歳)
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栃木県宇都宮市「アカデミック・ロード」英語塾講師
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保有資格: TOEIC L&R 990点、英検1級、通訳案内士(英語)

